習作

100編を目標に空についての小説を書く。

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

20:30の図書館

20:30の図書館 数式の世界、旅を終えよう。 見上げた20:30の図書館 6人がけ机50個、座っている人3人 無言の本棚 重くたたずむ いつの間にか開いてるサンシェード 窓ガラスに映る僕の姿 外の暗闇 図書館3F 本の香り 柔らかい空気 昼のキャンパス 華やかな雑踏…

ユニタリ行列

「諸君、朗報だ!」 「諸君って、俺しかいないっすよ先輩?」 「なんと...我が数学研究部に女子転校生が入るらしい!」 「...またまたぁ、遂に暑さにやられて脳のCPUが熱暴走しちゃったんですかぁ先輩?こんな四畳半もないむさ苦しいホワイトボードしかない…

「急停車致します。お近くの吊革にお捕まり下さい」 「ただいま人身事故が発生しました。新しい情報が入り次第お知らせ致します」 え。まじか。もうどうでも良くなってきたな。大学行かずに帰るか。今日は2限からだから1限の日よりは楽だけど、その生活にも…

父母ヶ浜

岡山駅で快速マリンライナーに乗り換えた。車内は半袖の旅行客が多く、席はほとんど埋まっていた。私はドアの近くの大きな窓から外を眺めるのが好きなので、乗り込んですぐの場所に立った。出発してしばらくすると鉄橋の上に出た。瀬戸大橋だ。進行方向の両…

星空

「なぁ、あの星、地球よりもでかいんだぜ。なんなら太陽よりでかくて熱い。すごいよな、おとぎ話みたいだよな、ちょっと見上げればそんなもんがすぐにそばに見えるなんて。」 「ああ。でもすぐそばじゃないぜ。あの星は地球からはずっと遠い。光の速さは30万…

井戸

井戸を見つけた。フラフラあてもなく散歩してなんとなく入った公園の鬱蒼とした茂みにたまたま古井戸があった。水道が発達した現代ではもう井戸なんて使わないから、僕は興味を持って蓋をしていたレンガをどけて中を覗いてみた。予想していた通り、暗くて深…

夕焼け

「これで会議を終わります、気をつけ、礼」 「「「ありがとうございました」」」 今日の片付け当番は僕ら1年生の学級委員だ。視聴覚室に並べた椅子や机を折りたたみ、棚に戻す。男子は椅子を左腕に2つ、右腕に2つ、合わせて4つ抱えて運び、女子は一部の筋力…

青空

五月、久しぶりの晴れだ。今週一週間はずっと曇っていたり雨が降っていたような気がする。雨や曇りの日は体が重く、気分も沈む。私は低気圧に弱い。台風が来た時には頭は割れんばかりに軋み、全身が動かなくなる。でも今日はようやく晴れた。雲ひとつない青…