習作

100編を目標に空についての小説を書く。

青空

五月、久しぶりの晴れだ。今週一週間はずっと曇っていたり雨が降っていたような気がする。雨や曇りの日は体が重く、気分も沈む。私は低気圧に弱い。台風が来た時には頭は割れんばかりに軋み、全身が動かなくなる。でも今日はようやく晴れた。雲ひとつない青空だ。天に向かって伸びる高層ビルの窓ガラスは日光を反射しきらきら輝き、樹木は全身に光を浴びて名残惜しそうに木漏れ日を落とす。無機物に命が宿り、世界は祝福された。日のもとに、全てが平等になり、どこまでも高い天空に吸い込まれてゆく。